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通貨の未来と国家を超える経済圏へ

  • SSD
  • 6月8日
  • 読了時間: 3分

著者:G.F.


■ 仮想通貨の現実と違和感


仮想通貨が世に出てから十数年。

「ブロックチェーンで世界が変わる」「ビットコインが金に代わる」などと華々しく語られたものの、2025年現在、私たちの暮らしにそれが本当に根ざしているかといえば、まだ懐疑的にならざるを得ない。


使い勝手が悪い。

税制が複雑。

制度も社会も、仮想通貨を“本当に通貨として”扱う準備ができていない。



■ 二重課税に近い矛盾


現行の日本制度では、仮想通貨を使って物を買うと、その瞬間に**「売却」とみなされ所得税が発生する。

さらに購入した商品には当然、消費税もかかる。

これでは実質的に二重に税金を課されている**のと変わらず、一般の人が日常的に使おうとするには非常にハードルが高い。


使えば申告が必要で、課税も複雑。

そんな“使うほど損”になる仕組みでは、どんなに便利な技術でも定着するわけがない。



■ ブロックチェーンは「通貨」にとどまらない


とはいえ、私はブロックチェーンそのものの可能性はむしろこれからだと考えている。


例えばエネルギーの分野。

地方の発電所などで作られた電力を、どこで、どれだけ、誰が使ったのか。

それを透明かつ改ざん不能な記録として残すブロックチェーンの仕組みは、

将来的に分散型エネルギー管理や災害時の緊急的な配電最適化に活用されるかもしれない。


すでに、医療・物流・著作権・行政文書などでも同様の動きがある。

“信頼を必要とする分野”すべてに、ブロックチェーンの応用余地がある。



■ 通貨は土地を超える


ここで重要なのは、通貨というものが「土地(=国家)」に縛られた時代が終わりかけているという点だ。

• 円やドルは、その国の信用と主権に基づいた通貨。

• 一方でビットコインやイーサリアムは、国を持たず、分散型ネットワークに支えられた**“ネットワーク通貨”**だ。


このような「土地に属さない通貨」が広がれば、国境という概念はもはや、通貨の壁ではなくなる。


むしろ、**「どの思想や技術基盤の通貨を選ぶか」**という、

価値観ベースの通貨選択が可能になっていく。



■ 差異が生む価値、そして選択の時代へ


ビットコインは、価値保存の手段として機能する。

イーサリアムは、スマートコントラクトによって金融や契約の自動化を可能にし、Web3のインフラとして発展している。


これらは競合ではなく、異なる役割を持つ共存的な存在だ。


そして今後は、その通貨間の「差異」そのものが新たなトレード機会や経済圏を生むだろう。


国家の法定通貨、ブロックチェーンベースのネットワーク通貨、地域のコミュニティトークン。

それらが並列に存在し、必要に応じて使い分けられる社会がやってくる。



■ 通貨とは「信頼を選ぶプロトコル」である


通貨は単なる決済手段ではない。

「誰と、どのような経済圏で、どのようなルールの中でつながるか」を選ぶ行為である。


国家を通貨の絶対的な単位として考える時代は、確実に変わり始めている。


この変化の中で求められるのは、情報に踊らされず、制度に縛られず、自ら選び、自ら責任を持つ主体性だ。


制度の整備が遅れていても、可能性はすでに手の中にある。



通貨の選択とは、生き方の選択である。

それが、私がビットコインとブロックチェーンの未来に感じる最大の希望だ。

 
 

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